生え際の抜け毛が増えたり、以前よりも額が広くなったように感じたりすると、「もしかしてAGA(男性型脱毛症)なのでは?」と不安になる方も多いでしょう。しかし、生え際の抜け毛が全てAGAによるものとは限りません。AGAのサインかどうかを見極めるためには、いくつかのポイントに注目する必要があります。まず、抜け毛の質です。AGAによって抜ける生え際の毛は、健康な太い毛と比較して、細く、短く、弱々しい傾向があります。これは、AGAの原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)の影響で、髪の毛の成長期が短縮され、十分に成長しきる前に抜け落ちてしまうためです。鏡で生え際のラインをよく観察し、細くて短い毛が多く見られるようであれば、AGAの可能性が考えられます。次に、抜け毛のパターンです。AGAによる生え際の後退は、多くの場合、額の左右の剃り込み部分から徐々に後退していく「M字型」のパターンをとります。左右対称に進行することもあれば、片側だけが目立って後退する場合もあります。また、頭頂部の薄毛と同時に進行することも少なくありません。このような特徴的なパターンが見られる場合は、AGAを疑う強い根拠となります。さらに、進行の度合いも重要です。AGAは進行性の脱毛症であり、何もしなければ徐々に生え際のラインは後退していきます。一時的な抜け毛の増加ではなく、数ヶ月以上にわたって生え際が後退し続けていると感じる場合は、AGAの可能性が高いと言えるでしょう。そして、家族歴も参考にしましょう。AGAは遺伝的要因が強く関与しているため、両親や祖父母に薄毛の人がいる場合は、生え際の後退もAGAによるものである可能性が高まります。これらのポイントを総合的に考慮しても判断に迷う場合や、不安が大きい場合は、自己判断せずに皮膚科やAGA専門クリニックを受診し、医師の診断を受けることが最も確実な方法です。専門医は、あなたの生え際の状態を正確に把握し、適切なアドバイスや治療法を提案してくれます。