キューピーヘアの同僚に癒された体験

30代の主婦です。
20代のころ電子機器メーカーで営業事務の仕事をしていました。私がいたチームには40代の薄毛というか、ちょいハゲの男性がいてみんなに秘かにキューピーと呼ばれていました。理由は産まれたての赤ちゃんのようなおでこがキューピーに似ているからで、女性社員からも少しバカにされていました。
私も彼に対しては好意的には感じておらず、彼も女性に好かれていないことはわかっていたようでした。用事があるときしか話しをせず、髪だけでなく存在感も薄い人でした。彼の顔もかっこいいとはいえず、太り気味の体と薄い髪の毛がちょっと残念で気持ち悪い人という印象でした。
あるとき、私が仕事で大きなミスをして取引先の営業にひどく怒られたことがありました。電話口で10分以上ののしられ、泣きそうになりながらずっと謝っていました。みんな関わりたくないという表情で遠巻きに見ていたのですが、彼がそっと近付き電話を代わってくれました。それでも取引先の営業の怒りは収まらず10分以上私の代わりに怒鳴りつけられてしまいました。
電話が終わってからありがとうございましたとお礼をすると、こういう人いるよね、気にしないでねと優しく声をかけてくれました。それでも泣き出してしまった私に泣くな、俺なんてキューピーだ!とおでこを見せ体を張った冗談で慰めようとしてくれました。彼の心意気に一瞬恋に落ちそうでした。それ以来キューピーは職場公認のあだ名になりましたが、女性のあいだでも優しくて頼れる男という認識になり誰も彼をバカにしなくなりました。