僕が自分の生え際の変化に気づいたのは、20代半ばのことでした。ふと鏡を見たとき、以前よりも額の左右、いわゆるM字の部分が少し後退しているように感じたのです。最初は「気のせいかな」「髪型のせいかな」と軽く考えていましたが、時間が経つにつれて、その後退は明らかになっていきました。父親もM字型の薄毛だったので、遺伝的なものだろうとは思いましたが、やはりショックは大きかったです。インターネットで調べてみると、自分の症状がAGA(男性型脱毛症)の典型的なパターンであることを知り、さらに不安が募りました。このまま放置すれば、もっと進行してしまうのではないか。そんな焦りから、まずは市販の育毛剤を試してみましたが、目に見える効果は感じられませんでした。そこで意を決して、AGA専門クリニックの門を叩きました。医師の診断はやはりAGA。特に生え際の後退が進行しているとのことでした。医師からは、フィナステリドの内服薬とミノキシジルの外用薬による治療を提案されました。副作用についての説明も受け、不安もありましたが、このまま何もしないよりはましだと思い、治療を開始することにしました。治療を始めて3ヶ月ほど経った頃から、まず抜け毛が減ってきたことを実感しました。シャンプー時の排水溝に溜まる髪の毛の量が明らかに少なくなったのです。そして半年が過ぎる頃には、M字部分に細い産毛が生えてきているのに気づきました。それは本当に小さな変化でしたが、僕にとっては大きな希望でした。1年が経過する頃には、産毛が少しずつ太く、長くなり、以前ほど生え際の後退が気にならなくなってきました。もちろん、完全に元通りになったわけではありませんが、進行を食い止め、ある程度の改善が見られたことは、精神的にも大きな救いとなりました。今も治療は継続していますが、あの時勇気を出して専門医に相談して本当に良かったと思っています。生え際の悩みは深刻ですが、諦めずに適切な治療を行えば、改善の可能性はあるのだと実感しています。