私の母の薄毛治療体験談薬との向き合い方

私の母は、60代に入った頃から頭頂部の薄毛が目立つようになり、とても悩んでいました。以前は豊かだった髪が、分け目を中心に地肌が透けて見えるようになり、鏡を見るたびにため息をついていました。市販の育毛剤をいくつか試したようですが、なかなか効果は感じられず、次第に外出することも億劫になっている様子でした。そんな母を見かねて、私は一緒に皮膚科を受診することを勧めました。最初は「年だから仕方ない」と消極的だった母も、私の説得でようやく重い腰を上げてくれました。皮膚科の医師は、母の頭皮の状態を丁寧に診察し、女性型脱毛症(FAGA)であるとの診断を下しました。そして、治療薬としてミノキシジル配合の外用薬を処方してくれました。医師からは、薬の効果や副作用、そして根気強く続けることの重要性について詳しい説明がありました。母は、医師から直接「治療法がある」と言われたことで、少し安堵したようでした。治療を開始して最初の数ヶ月は、正直なところ、目に見える変化はあまりありませんでした。母も「やっぱりダメなのかな」と弱音を吐くこともありましたが、私は「説明書にも効果が出るまで時間がかかるって書いてあったよ」と励まし続けました。そして、半年ほど経った頃でしょうか。母が「なんだか最近、抜け毛が減ってきた気がするの」と嬉しそうに言ってきたのです。鏡でよく見てみると、確かに以前よりも分け目の地肌の透け感が少し和らいでいるように見えました。それからも、母は毎日欠かさず薬を塗布し続けました。1年が経過する頃には、頭頂部に細いながらも新しい髪の毛が生えてきているのがはっきりと分かり、髪全体にも少しボリュームが出てきたように感じられました。完全に元通りとまではいきませんが、母の表情は以前よりもずっと明るくなり、おしゃれをして外出することも増えました。薬との向き合い方は、根気と、そして何よりも医師の的確な診断と指導が大切だと、母の体験を通して改めて感じました。