薄毛対策って効果は出るの?

2020年12月
  • AGAと体毛に関する俗説の真偽

    円形脱毛症

    AGA(男性型脱毛症)と体毛に関しては、古くから様々な俗説が語られてきました。「体毛が濃い人はハゲやすい」「胸毛が濃いと頭は薄くなる」といった話を聞いたことがある人も多いでしょう。これらの俗説は、全くのデタラメというわけではなく、ある程度の科学的な根拠に基づいている部分もありますが、必ずしも全ての人に当てはまるわけではありません。これらの俗説の背景にあるのは、男性ホルモン、特にDHT(ジヒドロテストステロン)の働きです。前述の通り、DHTは頭髪に対しては脱毛を促進し、体毛(ヒゲ、胸毛など)に対しては成長を促進するという、部位によって正反対の作用を示します。そして、AGAを発症しやすい人は、遺伝的に男性ホルモンレセプターの感受性が高かったり、DHTを生成する酵素の活性が高かったりする傾向があります。この「男性ホルモンに対する感受性の高さ」という共通の遺伝的要因が、頭髪の薄毛と体毛の濃さという二つの現象を結びつけている可能性があるのです。つまり、男性ホルモンの影響を受けやすい体質の人は、頭は薄くなりやすく、体毛は濃くなりやすい、という傾向が見られることがあるため、このような俗説が生まれたと考えられます。しかし、これはあくまで傾向であり、相関関係があるというだけで、因果関係を意味するものではありません。体毛が濃くてもフサフサな人もいれば、体毛が薄くてもAGAに悩む人もいます。また、体毛の濃さには、DHTだけでなく、テストステロンの量や人種差、個々の毛包の特性など、多くの要因が複雑に絡み合っています。したがって、「体毛が濃いから将来必ずハゲる」と悲観的になったり、逆に「体毛が薄いからAGAの心配はない」と楽観的になったりするのは早計です。俗説はあくまで参考程度に留め、自身の頭髪の状態に変化を感じたら、専門医に相談することが最も重要です。科学的根拠に基づいた正しい知識を持つことが、AGAと向き合う上での第一歩となります。

  • AGA治療期間の基本的な考え方

    かつら

    AGA(男性型脱毛症)の治療を考え始めた際、多くの方が気になるのが「治療にはどのくらいの期間がかかるのか」という点でしょう。結論から申し上げますと、AGA治療は多くの場合、長期的な視点での継続が必要となります。その理由は、AGAが進行性の脱毛症であるという特性にあります。AGAは、男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)が毛乳頭細胞にある受容体と結合することで、毛髪の成長期を短縮させ、毛包を徐々に小さくしていく病態です。何もしなければ、薄毛はゆっくりと、しかし確実に進行していきます。AGA治療薬(フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルなど)は、このDHTの働きを抑制したり、毛母細胞を活性化させたりすることで、抜け毛の進行を遅らせ、毛髪の成長をサポートします。しかし、これらの薬剤はAGAの原因そのものを取り除くわけではありません。薬剤の効果によってヘアサイクルが改善され、毛髪の状態が良くなったとしても、治療を中止してしまうと、再びDHTの影響が強まり、AGAが再進行してしまう可能性が高いのです。つまり、AGA治療は、風邪薬のように症状が治まれば服用を終えるというものではなく、高血圧や糖尿病の治療のように、良好な状態を維持するために継続的なコントロールが必要となる治療と似ています。もちろん、治療の目標設定(現状維持か、発毛を目指すかなど)や、個人のAGAの進行度合い、年齢、治療への反応性などによって、具体的な治療期間の考え方は変わってきます。しかし、基本的には、効果を実感し、それを維持するためには、年単位での治療継続が前提となることを理解しておくことが重要です。治療開始前に、医師と治療期間の見通しや、治療のゴールについて十分に話し合い、納得した上で治療に取り組むことが、長期的なAGA治療を成功させるための鍵となるでしょう。