ミノタブは、多くのAGAクリニックで処方され、その高い発毛効果が広く知られているにもかかわらず、実は日本では、AGA治療薬として厚生労働省の「承認」を受けていない、「国内未承認薬」であるという事実をご存知でしょうか。この事実は、ミノタブの安全性とリスクを考える上で、非常に重要な意味を持っています。ミノキシジルという成分自体は、頭皮に塗る「外用薬」としては、その有効性と安全性が認められ、一般用医薬品として市販もされています。しかし、「内服薬」としてのミノキシジルは、AGA治療の適応では承認されていないのです。その最大の理由は、前述したような「全身性の副作用のリスク」にあります。外用薬が局所的に作用するのに対し、内服薬は血流に乗って全身に影響を及ぼすため、動悸やむくみ、血圧低下といった、心血管系への副作用が起こる可能性があります。厚生労働省は、AGAという生命に直接関わらない疾患の治療において、これらの全身性の副作用がもたらすリスクが、発毛というメリットを上回る可能性があると判断し、現時点では承認を見送っているのです。では、なぜクリニックで処方されるのでしょうか。これは、医師が、国内で承認されている治療法では十分な効果が得られない患者に対し、そのリスクとベネフィットを十分に説明し、患者の同意を得た上で、自らの裁量と責任において未承認薬を処方する「医師の裁量権」に基づいています。これは違法な行為ではありません。しかし、このことは、ミノタブの服用が、それだけ慎重な判断と、専門家による厳格な管理を必要とすることを示唆しています。万が一、重篤な副作用が起きた場合でも、国内未承認薬であるため、「医薬品副作用被害救済制度」の対象外となる可能性が高いという、重大な注意点も存在します。ミノタブを検討する際には、この「国内未承認薬」であるという事実を深く理解し、そのリスクを全て受け入れる覚悟が求められるのです。
なぜミノタブは国内未承認薬なのか