私の髪が変わった漢方との出会い
鏡を見るたびに深くなるため息。シャンプーの後の排水溝に溜まる髪の毛。三十代を過ぎた頃から、私の髪は明らかに元気を失い、地肌が透けて見えるようになっていました。市販の育-毛剤を片っ端から試し、高価な育毛サロンにも通いましたが、効果は一時的か、あるいは全く感じられませんでした。半ば諦めかけていた時、友人が「体質から変えてみたら?」と漢方を勧めてくれたのです。正直、漢方には古臭くて苦いだけのイメージしかなく、半信半疑でした。しかし、藁にもすがる思いで、近所の漢方薬局の門を叩きました。そこでは、白髪の穏やかな先生が、私の話をじっくりと一時間以上も聞いてくれました。食生活、睡眠、ストレス、冷え性、生理の状態など、髪とは無関係に思えることまで細かく質問され、舌の状態を見たり、お腹を触診したり。先生の見立ては、血の不足と巡りの悪さ、そしてストレスによる気の滞りでした。処方されたのは、体を温め血を補う数種類の生薬を煎じて飲む薬でした。最初は独特の香りと味に戸惑いましたが、続けるうちに不思議と体が軽く、朝の目覚めが良くなっていることに気づきました。そして三ヶ月が経った頃、美容師さんから「何か始めましたか?髪にハリが出てきましたね」と言われたのです。自分でも、髪を洗った時の抜け毛が減り、一本一本がしっかりしてきたように感じていました。漢方は、即効性のある魔法ではありません。でも、私の体の中で何かが確実に変わり、それが髪という形で現れてくれたのです。あの時、諦めずに漢方薬局を訪ねて本当に良かったと、今、心から思っています。