薄毛の予防を始めようと決意した時、多くの人はすぐに「何をすれば良いか」という対策(How)に飛びつきがちです。しかし、効果的な予防策を講じるためには、その前に「自分の髪と頭皮は今、どのような状態なのか」という現状(What)を客観的に把握することが不可欠です。やみくもに予防策を打つのではなく、まずは自分の体が出しているサインを正しく読み解くこと。それこそが、薄毛予防の成功への最短ルートなのです。まず、最も基本的な現状把握は「抜け毛の状態」をチェックすることです。シャンプーの後などに抜けた髪の毛を数本集め、その太さや長さ、そして毛根の状態を観察してみてください。もし、抜けた髪の中に、他の髪に比べて明らかに細く、短い「産毛」のような毛が多く混じっている場合、それはヘアサイクルが乱れ、髪が十分に成長する前に抜け落ちてしまっているサインかもしれません。これは、AGA(男性型脱毛症)の初期症状である可能性も示唆しています。また、正常な抜け毛の毛根は、ふっくらと丸みを帯びていますが、毛根がなかったり、細く尖っていたりする場合は、異常な抜け毛の可能性があります。次に、鏡を使って「頭皮の色」をチェックする習慣もつけましょう。健康な頭皮は、血行が良い証拠である、少し青みがかった白色をしています。もし頭皮が赤みを帯びているなら炎症を、黄色っぽくくすんでいるなら皮脂の酸化や血行不良を、茶色っぽいならターンオーバーの乱れを疑うことができます。さらに、指の腹で頭皮全体を触ってみて、「頭皮の硬さ」を確認することも大切です。特に、頭頂部や側頭部が、額や後頭部に比べてカチカチに硬い場合は、血行不良や筋肉のコリが起きているサインです。これらのセルフチェックは、あくまで現状を把握するための目安です。しかし、自分の状態を客観的に知ることで、漠然とした不安が、具体的な課題へと変わります。「自分は血行不良が原因かもしれないから、マッサージを重点的にやってみよう」といったように、より的を絞った効果的な予防策を立てることができるのです。そして、もしこれらのチェックで明らかな異常が見られる場合は、迷わず専門医に相談する、という次のステップへの判断材料にもなります。